「あッ……!?」
一瞬、麗亜は眼にした光景に平衡感覚を失う。彼女の足音に驚いた蒼い星たちが一斉に天へ舞い上がった──

麗亜はそんな錯覚に襲われた。その拓けた場所には何百という数のモルフォ蝶が舞っていたのだ。ガラス張りの天井から降り注ぐ夏の日差しに、蒼い星たちは砕かれた星屑のように、その翅を煌めかせながら舞い踊る。南国の海洋を思わせるエメラルドグリーン。黒と見紛う藍色と純水を彷彿とさせる水色。表面は金属のように滑らかで冷たく、裏面は褐色や灰色で暗いが、命の暖かみのある大振りな翅。不規則な軌道を描きながら流星群のようにモルフォ蝶は飛ぶ。どこまでも神秘的な金属光沢の構造色。
美しい──
ただ美しいとしか表現し得ない生きた宝石達──