スキップの足を止め、温室の扉の前で、その巨大な建造物を見上げる。簡単なビニールハウスを想像していた麗亜はその立派さに驚きの声を上げた。
「まるでガラスの神殿だね!」
温室は扉以外はガラス張りでちょっとした体育館並の大きさだった。
「コレ、中は絶対、蒸し風呂よね……」
麗亜は先程とは打って変わって、悲壮感を漂わせながら、重いハッチのような扉を力任せに引き開けた。その途端、湿った南国の大気のような風が、頬を撫でる。温室の中は一面、緑の洪水だった。様々な南国の植物が生い茂り、赤や白に咲き乱れる花々と天井から人工のミストが降り注いでいる。