「川下をいじめておいて『都合のいい奴』と思われるかもしれないけど、川下と高林とはもう『友達』だと思っている。だって、嫌いな奴と一緒に遊ばないって言うか」

少し震えた声で、一応理由も付けてみた。
正直言って、直後に川下に鼻で笑われたりするのかな?って不安になったけど・・・・・。

・・・・・・。

川下は突然あたしの手を握ってくる。

同時に、空や高林にしか見せてない満面の笑みをあたしにも見せてくれる。

「そう来なくちゃね!燐ちゃん」

「燐?えっ?」

名前を呼ばれてあたしはすぐに混乱。
今までは『北條』と呼んでいた川下なのに。

「別にいいでしょ?名前で呼んでも。私、友達と思う相手なら名前で呼ぶし。だから燐ちゃんも今から私のことを『海』って呼んでね。はいスタート」

はいスタートってお前な・・・・・。

一方の高林は明る過ぎる川下の姿に、笑みを溢す。

「相変わらず海は面白い奴だな」

「嫌な関係を維持するくらいなら、『楽しい関係』を維持する方が絶対良いに決まったいるし。何より誰も苦しまなくて済むし。笑って済む話なら、笑って解決したいし。あーでも、もちろん相手の気持ちも考えてね。相手を苦しませる自分勝手な言葉や行動は、慎むようにしているから」

そう言った川下は自分らしい言葉を更に続ける。

「だから、私も燐ちゃんの闇を振り払いたいなって。みんなで笑おうよ!」

みんなで笑おうよ。
その言葉に高林も賛成なのか、また高林はあたしに笑ってくれた。

ホント、女の子のような高林の笑顔。

「俺も協力するぜ、燐。みんなで頑張ろうぜ」

今度は『みんなで頑張ろうぜ』か・・・・。
何だか嬉しい言葉だな。

と言うか『みんな』か・・・・・。

・・・・・・。

それ、あたしも入っているって意味でいいんだよね?

あたしも笑って、いいんだよね?

もう、我慢しなくていいんだよね?