次の日、僕はいつものように写真館で食事を終えて、学校に向かった。教室に着くと、西さんがいるかと思っていたが、その予想は外れて、今日は僕が一番乗りだった。時間が経ち、ホームルームが始まる頃になっても西さんは登校してこなかったが担任の第一声で理由はすぐに判明した。
「西は今日は体調不良で休みだ。季節の変わり目だから、みんなも気をつけるように」
体調不良では仕方ないと思いつつ、どうにも納得できなかった。昨日の西さんはとても元気そうだったし、何よりその体調不良の原因が僕にあるのではないかと思えてしまったからだ。モヤモヤした気持ちで授業を受けつつ、昼休みに一度、西さんへお見舞いのメールを送っておいたが、結局学校が終わる頃までには返事がなかった。
「こうなったら、直接行くしかないかな・・・」
昨日の今日なので、西さんのご両親に変な勘繰りをされるかもしれないと思いつつ、僕は西さんの家に向かった。お見舞いということなので、行く途中、コンビニでゼリーなどを買って行った。西家の前に着くと、誰かが話し込んでいるのが見えた。一瞬、常連のお客さんの誰かかと思ったら、話し込んでいたのは西さん本人と隆さんだった。
「2人とも店先でどうしたんですか?」
僕の声に気が付いたのか、隆さんが返答した。
「真か、丁度いい。これなら私もお邪魔しても構わないだろう?」
「だから、どうしてそうなるんですか!良いから今日は帰ってください」
「話が読めないんですけど、一体どうしたんですか?」
西さんも僕の存在に気付いたらしく、僕の方に駆け寄ってきた。
「坂本くん、どういうこと?どうして織田さんがここに来てるの?私、昨日も織田さんを呼べない理由、説明したよね?」
「落ち着いて、西さん。そこは僕に聞かれても分からないんだよ。隆さん、どうしてですか?」
「西くん、私がここに直接来たのは真も知らないことだよ。さっきも説明したのだが、私がここに来たのはアポを取ってきたとしても、意味がなかったからだよ」
そこまで隆さんが話すと、西さんも少し落ち着いた。
「分かりました。では10分だけなら大丈夫です。でも、見張らせてもらいますからね」
そう言うと、西さんは怒りながらも家に入れてくれた。
「真が来るとすんなり入れてくれると思った」
「どうして、こんな強引な真似をするんですか?一歩間違えれば通報されてましたよ」
「ああ、そうだろうな。普通ならそうして然るべきなのだが・・・」
西さんはお祖母さんの部屋まで着くと、ご丁寧にスマホのタイマー機能で10分間測る準備をした。
「依頼しておきながら、本当に信用がないんだな。私は」
「私は依頼はしましたが、あなたはあくまで趣味で探偵業をしていると聞いています。本業でない人に絶対の信頼を寄せる方がおかしいです」
「おっしゃる通りだ」
西さんの態度には驚きつつも、僕と隆さんはお祖母さんの部屋に入っていった。
隆さんは部屋に入るとすぐ、ベッドの周りを1周し、首を左右に振って、辺りを見回していた。
「よし、もう帰ろう」
「え?まだ、部屋に来てから2分くらいしか経ってませんよ」
「もう十分だ。ここには最初から手掛かりなどないということが分かった」
「え?どういうことですか?ここは西さんのお祖母さんの部屋なんですよ。ここ以外に一番有力な手掛かりがある場所なんてないんじゃ?」
すると、隆さんは西さんの目の前に立って、一言こう告げた。
「西くん、お祖母さんはいるかい?」
「何言っているんですか?いるに決まっているでしょ!いない人の調査なんて依頼できるわけないじゃないですか!」
「そうじゃない。お祖母さんはこの家に生きているかということだ」
「どういうことです?」
「真、これで彼女の依頼は終わりだ。これ以上、調査の必要はない」
立ち去ろうとする隆さんの腕を西さんがつかんだ。
「待ちなさいよ!どういう意味よ!意味がないって!」
「意味がないだろう。すでに故人の方の調査で君は何を知りたいんだ」
「故人って、西さんのお祖母さんは今も生きているはずじゃ?」
「いや、生きていない。あとは然るべき機関に任せるさ」
隆さんがそこまで言うと、西さんは膝から倒れていった。
数時間後、僕らはサイレンの音と共に警察へ向かう、西さん家族を見送り、その場を後にした。
「西は今日は体調不良で休みだ。季節の変わり目だから、みんなも気をつけるように」
体調不良では仕方ないと思いつつ、どうにも納得できなかった。昨日の西さんはとても元気そうだったし、何よりその体調不良の原因が僕にあるのではないかと思えてしまったからだ。モヤモヤした気持ちで授業を受けつつ、昼休みに一度、西さんへお見舞いのメールを送っておいたが、結局学校が終わる頃までには返事がなかった。
「こうなったら、直接行くしかないかな・・・」
昨日の今日なので、西さんのご両親に変な勘繰りをされるかもしれないと思いつつ、僕は西さんの家に向かった。お見舞いということなので、行く途中、コンビニでゼリーなどを買って行った。西家の前に着くと、誰かが話し込んでいるのが見えた。一瞬、常連のお客さんの誰かかと思ったら、話し込んでいたのは西さん本人と隆さんだった。
「2人とも店先でどうしたんですか?」
僕の声に気が付いたのか、隆さんが返答した。
「真か、丁度いい。これなら私もお邪魔しても構わないだろう?」
「だから、どうしてそうなるんですか!良いから今日は帰ってください」
「話が読めないんですけど、一体どうしたんですか?」
西さんも僕の存在に気付いたらしく、僕の方に駆け寄ってきた。
「坂本くん、どういうこと?どうして織田さんがここに来てるの?私、昨日も織田さんを呼べない理由、説明したよね?」
「落ち着いて、西さん。そこは僕に聞かれても分からないんだよ。隆さん、どうしてですか?」
「西くん、私がここに直接来たのは真も知らないことだよ。さっきも説明したのだが、私がここに来たのはアポを取ってきたとしても、意味がなかったからだよ」
そこまで隆さんが話すと、西さんも少し落ち着いた。
「分かりました。では10分だけなら大丈夫です。でも、見張らせてもらいますからね」
そう言うと、西さんは怒りながらも家に入れてくれた。
「真が来るとすんなり入れてくれると思った」
「どうして、こんな強引な真似をするんですか?一歩間違えれば通報されてましたよ」
「ああ、そうだろうな。普通ならそうして然るべきなのだが・・・」
西さんはお祖母さんの部屋まで着くと、ご丁寧にスマホのタイマー機能で10分間測る準備をした。
「依頼しておきながら、本当に信用がないんだな。私は」
「私は依頼はしましたが、あなたはあくまで趣味で探偵業をしていると聞いています。本業でない人に絶対の信頼を寄せる方がおかしいです」
「おっしゃる通りだ」
西さんの態度には驚きつつも、僕と隆さんはお祖母さんの部屋に入っていった。
隆さんは部屋に入るとすぐ、ベッドの周りを1周し、首を左右に振って、辺りを見回していた。
「よし、もう帰ろう」
「え?まだ、部屋に来てから2分くらいしか経ってませんよ」
「もう十分だ。ここには最初から手掛かりなどないということが分かった」
「え?どういうことですか?ここは西さんのお祖母さんの部屋なんですよ。ここ以外に一番有力な手掛かりがある場所なんてないんじゃ?」
すると、隆さんは西さんの目の前に立って、一言こう告げた。
「西くん、お祖母さんはいるかい?」
「何言っているんですか?いるに決まっているでしょ!いない人の調査なんて依頼できるわけないじゃないですか!」
「そうじゃない。お祖母さんはこの家に生きているかということだ」
「どういうことです?」
「真、これで彼女の依頼は終わりだ。これ以上、調査の必要はない」
立ち去ろうとする隆さんの腕を西さんがつかんだ。
「待ちなさいよ!どういう意味よ!意味がないって!」
「意味がないだろう。すでに故人の方の調査で君は何を知りたいんだ」
「故人って、西さんのお祖母さんは今も生きているはずじゃ?」
「いや、生きていない。あとは然るべき機関に任せるさ」
隆さんがそこまで言うと、西さんは膝から倒れていった。
数時間後、僕らはサイレンの音と共に警察へ向かう、西さん家族を見送り、その場を後にした。