「めっちゃいい感じになってんじゃん!」



イヤリングをつけた途端、また健は小さな妹の面倒を見るような表情になった。まあ、健とわたしでは圧倒的に彼の方が背が高いので、こんな感じにはなるだろう。



「本当に? 嬉しいなぁ」



「もうちょっと大人っぽい顔してれば、もっと似合うと思ったんだけどな」



「えー! それって、やっぱいい感じになってないってことじゃん」



自分がそんなに大人っぽい顔つきじゃないことくらい、わたしも分かっている。
けれど、イヤリングなんてわたしには似合わないんだ、と思ってしまう。



「いやいや、童顔の割には似合ってるってこと」



「なんか複雑だよー」



健が何を言いたいのかが全然わからない。
もう拗ねる、拗ねるよ。



「でも、初々しい感じがする。可愛くもあり、綺麗でもある感じで俺、好きだよ」



「……ありがと」



彼が、なんだかずるく思えてきた。褒めて、わたしを強制的にお礼を言わすんだもの。