そういえばこの三人は、昔からこんな感じだった。なんでも全力で楽しむけど、自分で提案することはあまり得意ではない冬哉。いつも流れに任せて、みんなに合わせる自然体の春乃。とにかくマイペースで、周りがやいのやいのと話し合うのを静観していて、いざ決まってからはそれに従って素直に動く千秋。彼らはみんな、素直で優しい性格で、我を通すということが本当になくて、だからこそ誰かが決めてあげないといけないのだ。
「しょうがないなあ……。じゃあ、私が考えるよ」
 私は溜息をつきながら言った。
「せっかくサークルやるんなら、ちゃんとやらなきゃ。なにか目標を立てて、達成できるように計画的に進めて……」
 ふいに、千秋がくすりと笑みを洩らした。私はどきりとして言葉を呑み込む。
「え……なに? なんか変なこと言った?」
 不安が込み上げてきた。でも彼は、「ううん」と首を振った。
「そうじゃないよ。さすが光夏だな、と思って」
「え……?」
 私は瞬きをして千秋を見つめ返す。彼はふわりと笑った。
「そういうふうに、てきぱきとやること決めていくの、すごく光夏らしいなと思って」
 返答に困って、私は小さく唾を呑み込んだ。
「光夏はやっぱり光夏だ。そう思ったんだ。それが俺はすごく嬉しい」
 どういう意味? と反射的に訊き返しそうになったけれど、きっと今の私にとっては痛い答えだろうと思って、私は口をつぐんだ。
「俺ら、目標なんて全く考えてもなかったもんな」
 へへっと笑いながら冬哉が言った。
「……あったほうがいいよ、絶対。じゃないと中だるみして、最悪、自然消滅しちゃうでしょ」
 さっきよりもトーンを落として答える。
 ふ、と笑いが洩れる音がした。見ると、千秋がなぜか妙に嬉しそうな顔をしている。
「……どうしたの?」
「いや、光夏は自然消滅したら嫌なんだな、と思って」
 少し悪戯っぽく訊ねられて、はっとした。
「いや、別に……そういうわけじゃ」
「相変わらず優しいね、光夏は」
 千秋の穏やかな微笑みが、胸に突き刺さる。冬哉がひゅうっと口笛を吹いた。
「……そんなことないよ」
 私は全然優しくない。本当に優しかったら、きっと失敗なんてしなかった。人の気持ちが分からないから、自分本位の正義感ばかり振るうから、私はこんな状況になってしまったのだ。