一学期、私はクラスの副委員長をしていて、それなりに認められ、時には頼られていたように思う。それなのにみんな呆気なく島野側についた。薄情な、という気持ちはやっぱり込み上げてくる。
 でも、仕方がないだろうと思う。誰もが、島野の機嫌を損ねて次のターゲットにされては堪らないと思っているのは明らかだった。よくある話だ。
 島野は、子どものころから格闘技かなにかを習っているらしく、身体が大きい。しかも声も態度も大きい。彼の腰巾着たちも、その威を借りて偉そうに振る舞っている。教室ではいつも、自分たちしかいないと思ってるんじゃないか、と疑ってしまうほどの大声で騒いでいて、立てる物音もいちいち大きい。それに反応して眉をひそめるような人がいると、途端に険しい顔で「言いたいことあんのか?」と凄む。だから他の生徒たちは気にしない振りをするしかないのだ。子どもじみた恐怖政治みたいなものだ。みんな本気で恐れているというよりは、面倒なやつらと関わり合いになりたくない、と考えているのだろう。
 そうやって、島野たちから始まった私への嫌がらせは、集団無視という形でクラス中に広まり、私は幽霊になった。