その日を境に、私は彼らに疎まれ、目の敵にされ、あからさまな嫌がらせをされるようになった。持ちものを汚されたり隠されたり捨てられたり、陰口を叩かれたり直接暴言を吐かれたり、机を蹴られたり足を引っかけられて転ばされたり。登校したとき、移動教室や体育のあと、バカ、アホ、出しゃばり、カンチガイ女、などと油性ペンで机に落書きされているのを発見したことも、何度もある。
 それだけなら、馬鹿な男子たちに絡まれて面倒だ、という程度で済んだ。でも、悪意は急速に広がっていった。彼らと親しくよく一緒に行動していた、クラスの女子の中心敵な派手で騒がしいグループが嫌がらせに加わり、おそらく彼女たちが提案したのだろう、無視が始まった。私をいないものとして扱い、わざとらしくぶつかってきたり、机を勝手に空き教室へと持っていかれたりした。それなのに、不愉快な視線をちらちら送ってきては、なにかひそひそしゃべりながら笑う。
 そして、その無視には、クラスの全員が参加した。誰も話しかけてこなくなり、目も合わさなくなり、列の前からプリントが回ってくるときも、私だけ飛ばされた。
 それまでの私にはいちおう、休み時間や教室移動、昼食時間などを共にする友達がふたりいた。出席番号が前後だったことで親しくなった女子ふたりだった。でも、正直なところ、たまたま番号が近かったから仲良くなっただけの、校内限定の便宜的な友達という感じで、いちおう連絡先は交換していたものの課題や行事予定の確認などの事務的なもの以外でメッセージのやりとりはなかったし、休日に遊びに行くような関係ではもちろんなかった。彼女たちは少し気まずそうな顔をしつつも、他のクラスメイトと同じように私から離れていった。