もしかして千秋が春乃たちを連れてきた? 昨日の私の様子が、やっぱり不自然だったとか? 
「なんか、このメンバーで集まるの、久しぶりだねえ」
 私の不安と焦りをよそに、春乃が微笑みながら昔と変わらないのんびりとした口調で言うと、冬哉も「だな」と歯を見せて笑った。千秋も「うん、久しぶりだ」と頷く。
 黙っているのも変かと思い、私は乾いた声で「そうだね」と呟いた。
 四人揃ってこうやって顔を合わせるのなんて、本当に、いったい何年ぶりのことだろう。どんな口調で話していたかも忘れてしまうくらい久しぶりだ。たぶん五年、いや六年以上は経っている。
 そもそも私たち四人は、互いに性格も考え方も趣味嗜好も、なにもかも全く違った。
 冬哉はいつもクラスの中心にいらリーダー格、明るく快活で人当たりがよく、誰とでも分け隔てなく接することができる。身体を動かすのが大好きで、スポーツ全般が得意、勉強もできる。
 春乃はおっとりしていて天然で、でも人の嫌がることは絶対に言わず、とても優しくて明るくて、おしゃれで可愛らしい女の子。アクセサリーや服作りが好きで、ピアノもすごく上手。
 千秋はあまり感情を見せず、無口で必要最低限のことしか話さないけれど、たまに口にする言葉にはとても重みがある。そしてかなりのマイペースで、積極的に特定の誰かとはつるむことはなくて、だからこそ自分の世界をしっかり持っている。絵や工作が好きな芸術家肌。
 そして私は、いわゆる優等生タイプ。でもとにかく無駄に正義感が強くて、気も強くて、相手の気持ちも考えずになんでもはっきり口に出してしまう。つまりは性格がきつい、というか、性格が悪い。好きなものや得意なものは、特にない。
 そんな私たちなので、学校ではもちろん違うグループにいた(千秋は基本的にひとりでいた)けれど、放課後や休日になるといつも集まっていた。全然タイプが違うのに、四人でいるときにはそれが気にならなかった。不思議な調和がとれているような感じで、妙にしっくりときていた。お互いに欠けている部分を補い合うような関係が、それぞれに心地よかったのだと思う。
 でも、男女の境界ができただけで、私たちは一気に崩れて、ばらけてしまった。
 私たちは、四人だからこそ仲良くなれたのだ。たとえば男子二人と女子二人で見ると、同じ性別とはいえあまりにタイプが違って、四人組が解散された途端、もちろん仲が悪いわけではないけれど、ただの同級生、のようになってしまった。
 特に千秋と私は、冬哉や春乃と違って人付き合いが得意なほうではないので、最も隔たりが大きくなった。中二で同じクラスになったものの、結局一年間まったく口をきくことはなかった。
 こんな状態なので、今さら彼らと面と向かって話すのがどうにも気まずくて、たとえどこがですれ違ったり見かけたりしても、私はあえて目を逸らし顔を背けて、気づかぬふりをしていたくらいだった。
 それなのに、彼らは――。