「分からない、どちらとも言えないんだ。兄が姿を消したのは雪香の結婚式の一月前だから、無関係かもしれないし」
ミドリはそう言ったけれど、私には二人の失踪が無関係とは思えなかった。
人が消えるのは、簡単ではない。
全ての人間関係、仕事、積み重ねて来たもの全てを捨てるのには、相当な覚悟が必要だ。
深い関係だった二人が、そう違わない時期に姿を消したのに、無関係だなんて考えられない。
「私は、二人は一緒に居ると思う」
はっきりと言うと、横から蓮が口を出して来た。
「決めつけるなよ。雪香は無理やり連れ去られたかもしれないだろ?」
「有り得ない」
私がすぐに否定すると、蓮は怪訝そうな顔をした。
「なんで言い切れるんだよ? 雪香の考えなんて分からないんじゃないのか?」
ミドリも蓮と同じ気持ちのようで、探るような目で私を見ていた。
確かに、肝心の雪香からの電話について黙っている私の言い分は説得力が無いく、ふたりがが不審に思うのも無理は無かった……仕方がない。
「言って無かったけど、私のところに雪香から電話が有ったの。その時、雪香は自分の意志で消えると言っていた。事件に巻き込まれた訳じゃない」
私が二人の顔を交互に見ながら言うと、それぞれ違った反応が帰って来た。
「それはいつの話?」
ミドリは、初めて知る事実に純粋に驚き、
「お前、なんで黙ってた?!」
蓮は噛みつきそうな勢いで、私を睨みながら大声を上げた。
予想以上の蓮の剣幕に、私は怯み一瞬声が出なくなってしまう。
「冷静に話が出来ないなら出て行ってくれるかな?」
ミドリが、凍りつきそうな冷たい目を蓮に向けながら言った。
蓮とは怒りのタイプが違うけど、静かな怒りを表すミドリにも、同じくらいの怖さを感じる。
「沙雪?」
私が警戒し始めたのを敏感に感じ取ったのか、ミドリはバツが悪そうな顔を向けて来た。
咄嗟に視線をそらし、横目で蓮を見れば、怒りは収まらないようで、険しい表情で私を睨んでいる。
何度も会って慣れたせいか警戒心が鈍くなっていたけれど、最初から蓮は私に対して攻撃的だった。あくまでも雪香の立場でしか、物事を考えない。完全に雪香の味方。ミドリも蓮も油断できない。
私は冷静さを取り戻す為、大きく息を吐き出してからミドリの質問に答えた。
ミドリはそう言ったけれど、私には二人の失踪が無関係とは思えなかった。
人が消えるのは、簡単ではない。
全ての人間関係、仕事、積み重ねて来たもの全てを捨てるのには、相当な覚悟が必要だ。
深い関係だった二人が、そう違わない時期に姿を消したのに、無関係だなんて考えられない。
「私は、二人は一緒に居ると思う」
はっきりと言うと、横から蓮が口を出して来た。
「決めつけるなよ。雪香は無理やり連れ去られたかもしれないだろ?」
「有り得ない」
私がすぐに否定すると、蓮は怪訝そうな顔をした。
「なんで言い切れるんだよ? 雪香の考えなんて分からないんじゃないのか?」
ミドリも蓮と同じ気持ちのようで、探るような目で私を見ていた。
確かに、肝心の雪香からの電話について黙っている私の言い分は説得力が無いく、ふたりがが不審に思うのも無理は無かった……仕方がない。
「言って無かったけど、私のところに雪香から電話が有ったの。その時、雪香は自分の意志で消えると言っていた。事件に巻き込まれた訳じゃない」
私が二人の顔を交互に見ながら言うと、それぞれ違った反応が帰って来た。
「それはいつの話?」
ミドリは、初めて知る事実に純粋に驚き、
「お前、なんで黙ってた?!」
蓮は噛みつきそうな勢いで、私を睨みながら大声を上げた。
予想以上の蓮の剣幕に、私は怯み一瞬声が出なくなってしまう。
「冷静に話が出来ないなら出て行ってくれるかな?」
ミドリが、凍りつきそうな冷たい目を蓮に向けながら言った。
蓮とは怒りのタイプが違うけど、静かな怒りを表すミドリにも、同じくらいの怖さを感じる。
「沙雪?」
私が警戒し始めたのを敏感に感じ取ったのか、ミドリはバツが悪そうな顔を向けて来た。
咄嗟に視線をそらし、横目で蓮を見れば、怒りは収まらないようで、険しい表情で私を睨んでいる。
何度も会って慣れたせいか警戒心が鈍くなっていたけれど、最初から蓮は私に対して攻撃的だった。あくまでも雪香の立場でしか、物事を考えない。完全に雪香の味方。ミドリも蓮も油断できない。
私は冷静さを取り戻す為、大きく息を吐き出してからミドリの質問に答えた。