「えっ……それなら私が帰ったあとにしてよ」
「いいじゃない」
私が止めるのも聞かず、母は蓮に電話をかけてしまった。直ぐに通じたようで話し始める。
「ちょうど家に居たみたいで、すぐに来るそうよ。彼も雪香を探してくれてるから、沙雪も話を聞いてみて」
私はがっくりと項垂れた。居丈高な蓮と顔を合わせるなんて嫌だったのに。
蓮は本当に直ぐにやって来た。
私が居ると聞いていなかったようで、目が合うと驚いた顔になる。
お互い無言で挨拶すら無し。母は冷え切った空気には気付かずに、蓮に私を紹介した。
「蓮君、一度会ってるみたいだけど改めて紹介するわ、雪香の双子の姉の沙雪よ。雪香を探しているから、蓮君が知ってる事が有ったら教えてあげて欲しいの」
なんて余計なことを。おしゃべりな母に苛立ち、私は顔をしかめた。
蓮は母の前だからか「もちろん、協力します」と感じ良く答える。更には私に親切さを装い話かけて来た。
「何か聞きたいことは有るか?」
胡散臭いその笑顔に不快感を覚えながらも、良い機会だと気持ちを切り替えた。
実際、鷺森蓮には聞きたいことがいくつか有る。母に刺激を与えない程度に聞き出してしまおう。
「雪香の知り合いで、ミドリって呼ばれてる人が居るでしょ? その人について教えて欲しいんだけど」
蓮は一瞬で顔色を変えた。さっきまでのにこやかな表情は消え去り、険しい目で私を見据える。その鋭い視線に、思わず怯みそうになるけれど、蓮の反応はミドリを知っている何よりの証拠だ。
「知ってるみたいですね? 雪香が卒業間際の頃、よく手紙を貰っていたみたいなんですけど、その人の連絡先教えて貰えませんか?」
「……聞いてどうするつもりだ?」
「連絡を取って、出来れば会って話を聞きたくて……」
「駄目だ!」
私の言葉を蓮が厳しい声で遮った。
「蓮君どうしたの?」
これには私より母が驚いたようで、怪訝な顔で蓮を見た。
「いえ、何でも」
母の声に、蓮はハッとしたようで、気まずそうな表情になった。それから私の方を向く。
「ミドリには会わない方がいい」
何で鷺森蓮が決めるわけ?とムッとしていたところ母が割り込んで来た
「沙雪、その人に会いたいのは雪香を探す為なのよね?」
「……そうだけど」
頷くと、母は蓮に必死の様子で頼みはじめた。
「蓮君、その人の連絡先を沙雪に教えてあげて」
蓮は渋々と言った様子で頷いた。
「いいじゃない」
私が止めるのも聞かず、母は蓮に電話をかけてしまった。直ぐに通じたようで話し始める。
「ちょうど家に居たみたいで、すぐに来るそうよ。彼も雪香を探してくれてるから、沙雪も話を聞いてみて」
私はがっくりと項垂れた。居丈高な蓮と顔を合わせるなんて嫌だったのに。
蓮は本当に直ぐにやって来た。
私が居ると聞いていなかったようで、目が合うと驚いた顔になる。
お互い無言で挨拶すら無し。母は冷え切った空気には気付かずに、蓮に私を紹介した。
「蓮君、一度会ってるみたいだけど改めて紹介するわ、雪香の双子の姉の沙雪よ。雪香を探しているから、蓮君が知ってる事が有ったら教えてあげて欲しいの」
なんて余計なことを。おしゃべりな母に苛立ち、私は顔をしかめた。
蓮は母の前だからか「もちろん、協力します」と感じ良く答える。更には私に親切さを装い話かけて来た。
「何か聞きたいことは有るか?」
胡散臭いその笑顔に不快感を覚えながらも、良い機会だと気持ちを切り替えた。
実際、鷺森蓮には聞きたいことがいくつか有る。母に刺激を与えない程度に聞き出してしまおう。
「雪香の知り合いで、ミドリって呼ばれてる人が居るでしょ? その人について教えて欲しいんだけど」
蓮は一瞬で顔色を変えた。さっきまでのにこやかな表情は消え去り、険しい目で私を見据える。その鋭い視線に、思わず怯みそうになるけれど、蓮の反応はミドリを知っている何よりの証拠だ。
「知ってるみたいですね? 雪香が卒業間際の頃、よく手紙を貰っていたみたいなんですけど、その人の連絡先教えて貰えませんか?」
「……聞いてどうするつもりだ?」
「連絡を取って、出来れば会って話を聞きたくて……」
「駄目だ!」
私の言葉を蓮が厳しい声で遮った。
「蓮君どうしたの?」
これには私より母が驚いたようで、怪訝な顔で蓮を見た。
「いえ、何でも」
母の声に、蓮はハッとしたようで、気まずそうな表情になった。それから私の方を向く。
「ミドリには会わない方がいい」
何で鷺森蓮が決めるわけ?とムッとしていたところ母が割り込んで来た
「沙雪、その人に会いたいのは雪香を探す為なのよね?」
「……そうだけど」
頷くと、母は蓮に必死の様子で頼みはじめた。
「蓮君、その人の連絡先を沙雪に教えてあげて」
蓮は渋々と言った様子で頷いた。