「鷺森は最近雪香と距離を置いてるみたいだ……聞いてなかった?」
私は驚き高い声を上げた。
「私何も聞いてない、どうして? 蓮と雪香の間で何か揉めてるの?」
「いや、そういうんじゃ無いようだけど……ただ前のように雪香に対して過保護じゃなくなった。雪香は兄との面会も一人で行ってるみたいだし」
「そうなんだ……」
なんだか信じられない話だった。
あの何があっても雪香の味方だった蓮が、こんな時期に雪香を放っておくなんて。
「俺は鷺森の行動がなんとなく分かるな」
考え込んでいた私はミドリの言葉に、顔を上げた。
「え…… 分かるって?」
蓮とはいつもいがみ合ってるミドリが、そんな風に言うなんて意外だった。
「鷺森も、考えが変わって来てるんだと思う。ただ側にいて庇うだけが雪香にとって本当に良いのかと考え始めたんだと思う」
「そう……なのかな、あの蓮が……」
蓮は表面には出さないけど、あれで深く考えているのだろうか。
そんなことを考えながらミドリに目を向けた。
途端、どこか寂しそうなミドリの顔が目に入って来た。そういえば……、
「ミドリ……秋穂さんとはどうなったの?」
独身になった秋穂に、ミドリは何か伝えたのだろうか。
「いや、秋穂とは会ってない。連絡は来るけどね」
「……会わないでいいの?」
お兄さんに遠慮をしているのだろうか。
確かに簡単にいかない関係だと思うけど、ミドリはあれほど秋穂を想っていたのに。
「いいんだ、沙雪が心配してるような理由で会わないんじゃない」
ミドリは私の心情を見抜いたように言った。
「じゃあ、どうして……」
「秋穂は俺に頼りたいだけなんだ。力にはなりたいと思ってるけど、この先いつも側に居てやる事は出来ない……秋穂の為を思えば今は自立するように、距離を置くのも必要だと思うんだ」
「そう……」
ミドリもいろいろと考えてるんだ。
みんな少しずつ変わっていっている。
雪香も、蓮も、ミドリも。
「沙雪、そろそろバイトの時間じゃないのか?」
ミドリに言われ、私は慌てて腕時計に目を遣った。
「あっ、本当だ!」
遅刻したら大変だ。
「車で来てるから送るよ、ついでに食事もしていこうかな」
「ありがとう、じゃあ食事は私の奢りね」
僅かに微笑んだミドリと、車に向かって歩き出した。
「なんでお前がいるんだよ」
私は驚き高い声を上げた。
「私何も聞いてない、どうして? 蓮と雪香の間で何か揉めてるの?」
「いや、そういうんじゃ無いようだけど……ただ前のように雪香に対して過保護じゃなくなった。雪香は兄との面会も一人で行ってるみたいだし」
「そうなんだ……」
なんだか信じられない話だった。
あの何があっても雪香の味方だった蓮が、こんな時期に雪香を放っておくなんて。
「俺は鷺森の行動がなんとなく分かるな」
考え込んでいた私はミドリの言葉に、顔を上げた。
「え…… 分かるって?」
蓮とはいつもいがみ合ってるミドリが、そんな風に言うなんて意外だった。
「鷺森も、考えが変わって来てるんだと思う。ただ側にいて庇うだけが雪香にとって本当に良いのかと考え始めたんだと思う」
「そう……なのかな、あの蓮が……」
蓮は表面には出さないけど、あれで深く考えているのだろうか。
そんなことを考えながらミドリに目を向けた。
途端、どこか寂しそうなミドリの顔が目に入って来た。そういえば……、
「ミドリ……秋穂さんとはどうなったの?」
独身になった秋穂に、ミドリは何か伝えたのだろうか。
「いや、秋穂とは会ってない。連絡は来るけどね」
「……会わないでいいの?」
お兄さんに遠慮をしているのだろうか。
確かに簡単にいかない関係だと思うけど、ミドリはあれほど秋穂を想っていたのに。
「いいんだ、沙雪が心配してるような理由で会わないんじゃない」
ミドリは私の心情を見抜いたように言った。
「じゃあ、どうして……」
「秋穂は俺に頼りたいだけなんだ。力にはなりたいと思ってるけど、この先いつも側に居てやる事は出来ない……秋穂の為を思えば今は自立するように、距離を置くのも必要だと思うんだ」
「そう……」
ミドリもいろいろと考えてるんだ。
みんな少しずつ変わっていっている。
雪香も、蓮も、ミドリも。
「沙雪、そろそろバイトの時間じゃないのか?」
ミドリに言われ、私は慌てて腕時計に目を遣った。
「あっ、本当だ!」
遅刻したら大変だ。
「車で来てるから送るよ、ついでに食事もしていこうかな」
「ありがとう、じゃあ食事は私の奢りね」
僅かに微笑んだミドリと、車に向かって歩き出した。
「なんでお前がいるんだよ」