「とにかく帰りましょうか。そろそろ夕飯を作らないと日が暮れてしまいますし」

「あ、あの、私も手伝います……!」

「真澄さんが? そうですね、お客様に手伝わせるなんて……と言いたいところですが、せっかくなのでお言葉に甘えましょうか。助かります」


 りっちゃんに手を引かれるがまま歩きだし、時雨さんと翡翠が後に続く。

 なにか考えているのか、翡翠はどこかぼうっとしていてさっきよりも口数が少ない。

 ――どうしたんだろう?

 なんて、そんな些細なことにいちいち気がつくほど、翡翠を気にしている自分にも呆れてしまうのだけれど。すでにかくりよの気に惑わされつつあるのだろうか。

 ただ、でも、そう。こんな風に誰かと笑いながら並んで歩くのはずいぶん久しぶりで。

 たぶん、たったそれだけのことに感動してしまったのだ。夕陽の中に伸びる長い四つの影に、なんだか無性に泣きたくなってしまったのは、きっと。