「ねぇ、ハルヒサ。今度の土曜日、マンションに遊びに行っていい?」


大学からの帰り道。

学生だらけのバス停の列に並んでいると、隣に立っていた奈未が繋いだ手の指を絡めなおしながら俺の腕に身体を摺り寄せてきた。

傍に近づいてきた奈未の髪から、ふわりと甘い香りがする。


「いいよ。でも、小学生のガキが一人いるけどいい?」


俺は奈未の手を一旦離すと、彼女との距離が縮まるように腰を引き寄せた。


「いいよ。だって、紹介してくれるって言ってたでしょ?新しくできた妹」

奈未が俺を見上げてクスッと笑う。

笑ったその顔がかわいくて、彼女の頭を引き寄せるとそっと額に口付けた。


「ハルヒサ。ここ、人いっぱいいるんだけど」

「別にいいよ」

奈未はまたクスッと笑うと、俺の前にくるっと回って正面から抱きついてきた。