「じゃぁ陽央、父さん達は行ってくるから」
玄関で親父が何か言っていたけれど、俺は全部聞こえないふりをした。
あぁ、勝手に行ってくれ。
親父がチビを連れて家を出ると、俺はベッドの上にごろりと横になった。
もう少し寝よう。
そう思って目を閉じたものの、かなり目が冴えてしまって眠れない。
それに、自分の部屋なのに何だか落ち着かない。
俺はイライラしながら起き上がると、煙草に火をつけた。
一本吸いきっても、なぜか苛立ちが治まらない。
二本目に手を伸ばしかけたけれど、結局それに火をつけるのはやめて立ち上がる。
まだ午後の授業まではかなり時間がある。
だが、少し早めに大学に行ってみることにした。
大学に行けば誰か知り合いがいるだろうし、いなければカフェテリアで時間を潰せばいい。