一緒に過ごしてきた期間は短いけど、朔の中で俺は家族として認識されてるのか。

なんだか首の後ろがこそばゆい。

出会った頃は、ただうっとおしいとしか思っていなかった朔の存在。

だけど、朔に対する想いは俺の中で着実に変化していた。

そのことに自分でも驚いているし、それを認めるのは少し照れ臭かった。

朔の言葉をちゃんと胸に受け止めながらも、彼女の顔を正面から見るのはやっぱり難しくて。朔から顔を背けたまま、視界の片隅に映った水の入ったグラスに手を伸ばす。


「そっか。ずっと一緒にいれるといいね」

朔に同調する江麻先生の視線を横顔に感じる。

それでも朔を振り返らずにいると、和央がグイッと俺の腕をつかまえて引っ張った。


「兄ちゃんは、ぼくの家族!」

俺と朔の本当の関係を知らない和央は、朔の言ったことがかなり不満らしい。

ちらっと振り返ると、ふてくされた顔で俺の腕にしがみついていた。