やっぱり俺のことが信頼できなくて、また母親のところに会いに行きたくなったんだろうか。

とりあえず、駅に向かって川沿いの道を走る。


傍迷惑な居候。

突然親父が連れてきたチビのことを、その程度にしか思っていなかったはずなのに。

帰ってこないチビを焦って探しに出てきた自分が、不思議で仕方なかった。

複雑な気持ちを抱えて走りながらふと河原に視線を向けると、クローバーが密集した土手のところに若い女と小さな子どもがしゃがみ込んでいるのが見えた。

二人の傍には赤いランドセルが一つ、無造作に転がっている。


もしかして……

そう思って近づいてみると、若い女に話しかけるために子どもが顔を上げる。

少し離れたところからその横顔を見えただけなのに、その瞬間にその子どもがチビだとわかった。

その横にいる女は夕暮れの中ぼんやりとしていて顔がよく見えない。

学校が終わってもすぐに帰ってこないで、こんなところで知らない女と何やってんだ……