「よく引き受けたね、その役」
「昔は仲が良かったんですよ。それで、兄と関わるのも久しぶりでしたし、その、裏の世界っぽいのも面白そうだったし、お笑いも嫌いじゃないし。あと、男同士の友情っていうのですか、いいなぁ、と思って――」
そう言う奈緒さんの答えは、ちょっと歯切れが悪かった。
「ちなみに、趣味も兼ねて、あのジオラマを製作したのは私です」
「ええ? そうだったんだ。あれは本当に凄いと思ったよ」
あれが奈緒さんの趣味とは、本当に意外である。
「ついでに白状すると、これも――」と言って奈緒さんはケムール人のお面を指す。実に精密な作りなのである。
「――あながち、嫌々というわけでもなさそう、なんだね」
とはいえ、今までの話からは、やはりそれだけが理由とは思えないものがある。一応、聞いてみると、「そこのところの事情は――察して下さい」と、やはり歯切れが悪かった。
それは兄妹間で他にも何かあるのか、例の報酬でも絡んでいるとか――考えるのはやめよう。
とにかく、奈緒さんの暗躍のおかげもあってか、吉田とカジ谷という会員が増え、今年は活動に気合が入っているらしい。
「部外者の僕に、そこまで裏事情を話して大丈夫なのかい」
「引き受けてもらうには、全部話さないとダメだろうと判断したんです」
涼しい顔でさらっと答える。実は兄妹そろって恐ろしい策士なのではないか? やはり、くノ一か諜報部員か――
「で、相談、とは」
「聞いていただけるんですね!」
「まあ、聞くだけなら」
まだ完全に信用したわけではない。でも話を聞く価値はあるかな、と思ったのだが、
「嬉しいです」
その笑顔、もうちょっと警戒した方がいいのだろうか。
「昔は仲が良かったんですよ。それで、兄と関わるのも久しぶりでしたし、その、裏の世界っぽいのも面白そうだったし、お笑いも嫌いじゃないし。あと、男同士の友情っていうのですか、いいなぁ、と思って――」
そう言う奈緒さんの答えは、ちょっと歯切れが悪かった。
「ちなみに、趣味も兼ねて、あのジオラマを製作したのは私です」
「ええ? そうだったんだ。あれは本当に凄いと思ったよ」
あれが奈緒さんの趣味とは、本当に意外である。
「ついでに白状すると、これも――」と言って奈緒さんはケムール人のお面を指す。実に精密な作りなのである。
「――あながち、嫌々というわけでもなさそう、なんだね」
とはいえ、今までの話からは、やはりそれだけが理由とは思えないものがある。一応、聞いてみると、「そこのところの事情は――察して下さい」と、やはり歯切れが悪かった。
それは兄妹間で他にも何かあるのか、例の報酬でも絡んでいるとか――考えるのはやめよう。
とにかく、奈緒さんの暗躍のおかげもあってか、吉田とカジ谷という会員が増え、今年は活動に気合が入っているらしい。
「部外者の僕に、そこまで裏事情を話して大丈夫なのかい」
「引き受けてもらうには、全部話さないとダメだろうと判断したんです」
涼しい顔でさらっと答える。実は兄妹そろって恐ろしい策士なのではないか? やはり、くノ一か諜報部員か――
「で、相談、とは」
「聞いていただけるんですね!」
「まあ、聞くだけなら」
まだ完全に信用したわけではない。でも話を聞く価値はあるかな、と思ったのだが、
「嬉しいです」
その笑顔、もうちょっと警戒した方がいいのだろうか。