遠足(えんそく)」「喘息(ぜんそく)」「催促(さいそく)」「生息(せいそく)」「憶測(おくそく)」「土足(どそく)」――

 「そく」か、どう返そうか――無意識に考えを巡らせている自分に気付き、首を振る。いやだめだ、今度こそ西川代表を立てないと。

因循姑息(いんじゅんこそく)」「管窺蠡測(かんきれいそく)」「円満具足(えんまんぐそく)」「画蛇添足(がだてんそく)」「巧遅拙速(こうちせっそく)」「自給自足(じきゅうじそく)」「後継者不足(こうけいしゃぶそく)」「希望的観測(きぼうてきかんそく)
 得意の高難度な四字熟語の連発のあと、最後は熟語ですらない言葉で締める。

蛇足(だそく)ですが――」と言って木島副代表は、右足を上げて自分の足を指差した。
「これは纏足(てんそく)
 その足首から先はなんと、布でぐるぐる巻きにしてあるではないか。これは拍手ものである。面白いというより、わざわざそれを仕込んだ熱意に対して。
 返す言葉もないのか、西川代表も黙って拍手である。一挙手一投足(いっきょしゅいっとうそく)が見逃せないな――と、僕は心の中だけで思ったのである。