しかし、モデルなんて凄いな。
さすが義足の貴公子……。
私は、ロンさんに感心していた。
「いや~こんな可愛い上に料理が上手なんて
ますます好みだな。結衣。
日向は、やめて俺と付き合わないかい?」
ロンさんは、手を取りニコッと微笑みながら
そう言って口説いてきた。
えぇっ~!?
思わない言葉に心臓がドキドキと高鳴ってしまった。
いや。そんなの無理だし……えぇっ!?
慣れない口説き文句に私は、動揺してしまった。だが
「ほう……?次も同じ台詞を言いやがったら
お前をドラム缶に詰め込んで日本海に沈めてやる」
ビクッと身体が震えた。
いつの間にか課長がお風呂から出ており
ロンさんの背後に立っていたからだ。
凄い怖い表情で……。
「嫌だなぁ~ドラム缶で日本海だなんて
今の時期だと冷たいだろ?」
えっ?
そういう問題では……。
「日本海が嫌なら太平洋でもいいぞ?
二度と上がって来れないように重石をつけてやる。
心配するな。
呼吸が出来るように穴も開けておいてやる」
か、課長……それだと溺死してしまいます。
いや、それよりも殺す気満々ですか!?
課長の黒いオーラを漂わした魔王化に
恐怖を覚えた。本気だ……目が笑っていない。
ロンさんは、気にせずに笑っていた。
「アハハッ……ごめん、ごめん。
冗談だから機嫌直せよ」
「お前が言うと冗談に聞こえんぞ。
まったく油断も隙もない」
課長は、ハァッ……と呆れたようにため息を吐いた。
私は、それを見てフフッと笑った。
課長の怒りは、怖いけど
2人のやり取りは、面白かった。仲がいいなぁ……。
すると笑っていたロンさんは、フッと真剣な顔つきになった。
「まぁ……だが、お前に大きく
影響を与えられたのも事実だ。
だから今回の復帰は待ち望んでいた。
お前に勝って完全な1位になる」