その外国人男性は、課長を怖がる様子もないし
課長は、課長で怒ってはいるが
気を許しているように感じた。嫌ってはいない。
「あ、あの……亮平さん。どちら様で?」
誰なのか分からずに私は、戸惑ってしまう。
これだと止めるどころか、自己紹介も出来ない。
何より私1人だけ置いてきぼりだ。
「あぁ、そうか。コイツは……」
「改めてはじめまして。レディ。
俺は、日向の永遠のライバルで親友の
ロバート・ウィルソンだ。
皆からは、ロンという愛称で呼ばれている。
君も遠慮なくロンと呼んでくれ。
よろしくマイハニー」
マイハニーって……。
課長を押しのけて私に自己紹介してきた。
何ともチャラい……。
明るく着飾らないというかおおらかな性格をしていた。
外国の方って……こんな感じなのかしら?
私は、さらに戸惑ってしまった。
「よろしく……お願いします。
私は、二階堂結衣です!」
「結衣か。可愛い名前だね。
まさに君のためにあるような名前だ」
そう言うと私の手の甲にキスをしてきた。えぇっ!?
突然やられたのでドキッとしてしまった。
その姿は、絵になるぐらいにカッコいい。
まさにリアルな王子様みたいだ。
「お前な……俺の恋人だと言ったよな……?」
後ろから魔王化した課長は、黒いオーラを漂わしていた。
こ、怖い……。
その後、ロバートさんではなかった。
ロンさんは、課長に怒られていた。
2人は、仲がいいのか悪いのか分からない。
何だか揉めているし……。
取り合えず遅いのとロンさんが
お腹が空いたとうるさいので課長は、仕方がなく
泊まらしてあげることになった。
ロンさんって一体……?
それは、課長がお風呂に入っている間に判明した。
「えぇっ!?ロンさんも
パラリンピックの選手なんですか!?」
なんとロンさんまでもがパラリンピックの
選手だとは、思わなかったから驚いた。
しかも課長と同じ右足が義足で100メートル走るのだとか。