何より二人三脚かと思うほどに
歩調も息もぴったりと合っているではないか。
特に松岡さんペアは凄い。
安定した速さに綺麗なフォームだ。
陸上をしていた人の走り方だった。
1周目第2コーナーを抜けるとオープンレーンになる。
その際に合図の鐘が鳴った。すると選手と
ガイドランナーは、スピードを上げて行く。
その中でも松岡さんペアは、圧倒的な速さで
ドンドンと差を広げて行った。
それは、普通の健常者の選手と何も変わらないほどだ。
どうしてあんなに速く走れるのだろう?
松岡さんは、目が見えないのに……。
真っ暗の中で走っているはずなのに
他の選手も含めてそこに迷いは感じられなかった。
あ、違う……。
彼らは、ガイドランナーの人を心の底から
信頼をしているのだわ!?
だから、前に進められるのだ。
もしレーンから外れそうになったら
必ず止めてくれると信じているから。
そして彼らにしか見えない世界を見ているのだろう。
松岡さんから見る景色は、一体
どんな世界なのだろうか?
そして風を感じて走っているのかしら?
私は、そんな風に思っていると
最初にゴールをしたのは、松岡さんペアだった。
圧倒的な差で1位。
2人は、息を切らしながらも抱き締めて喜び合っていた。
それは、信頼関係を試される競走だった。
私は、感動した。
「凄いです。松岡さん達……」
こんな素晴らしい競走があるなんて
今まで知らなかった。
すると課長も嬉しそうに微笑んでいた。
「あぁ、見事な走りだ。調子がいいみたいだな
俺もうかうかしていられない」
友人が予選を通過して嬉しいのだろう。
私もそれを見て嬉しくなった。
良かった……本当に。
その後の予選も順調に勝ち進んで行く。
課長と松岡さんペア。
そしてダークホースの永井さんも勝ち。
残るは、次の日の準決勝と決勝のみとなった。