いくらサポートしてくれるガイドランナーの人が居ても
見えて走るのとまったく状況が違う。
怖くないのだろうか……?
自分が想像したら暗闇の中で立っているだけでも
恐怖で仕方がない。
なのに彼らは、そこから走らないといけないのだ。
私は、色々と考えていると課長が
「ガイドランナーの加藤さんとは、ペアを組んで長い。
お互いに信頼をしているから出来る関係性だ。
それにアイツ……松岡と加藤さんは、
パラリンピックの銀メダリストだ。
速さにも定評があるから見ておくといいぞ」と言って
教えてくれた。
えっ!?パラリンピックの銀メダリスト!!
す、凄い……。
「そんなに凄い人だったのですか!?」
「普段は、穏やかで人懐っこいからな。
病気で高校生の頃に視力を失ったが、それでも
諦めずに俺と一緒で陸上をやり続けていたらしい。
だからフォームも速さもかなりのモノだぞ」
私は、驚いてしまった。
正直そこまで凄い人だと思ってもいなかった。
彼もまた、その最悪な状況から
どうやって立ち直ったのだろうか?
新しい目標を見つけたから?それとも他に
運命を変えるものがあったのだろうか。
「それより、早くウォーミングアップを済ませるぞ。
急がないと始まってしまう」
「あ、はい。」
私は、慌てて返事してウォーミングアップを続けた。
何とか間に合うように済ませ大会の幕が開けた。
私は、予選に出る課長の出番を待った。
勝ち続けたら準決勝、決勝と進める。
あ、課長の前に永井さんが居た。
どうやら予選には、当たらないらしい。
良かった……。
課長にダークホースと言わせた若手選手だ。
当たるなら決勝で当たってほしいもの。
一体どんな走り方をするのかしら?
期待と不安になりながらそれを見ていた。
永井さんの出番になりスタートラインに着いた。
そして、号砲が鳴ると走り出した。
嘘っ……速い!!
課長に負けず劣らずフォームも綺麗で
他の選手と比べて明らかに差が出ていた。
確かに……。
ダークホースと言われるだけのことはある。
ぶっちぎりの1位になると彼は、
よっしゃあ!!とガッツポーズをしていた。
爽やかなイケメン君と言った印象だ。