さらに大きな雷が落ちた。
それは……もう容赦の欠片もないほどに。
ひぃぃっ……鬼だ!!
野々村君は、半べそになりながら戻って来たが
他の先輩達から大ブーイングが飛ぶ。
「お前は、アホか。
自分で地雷を踏む奴があるか!?」
「お陰で、こっちまで
火の粉が飛んできたじゃねぇーか!!」
可哀想に……。
さらに半べそになっている野々村君に
思わず同情してしまった。
恐る恐るチラッと課長を見ると
まだイライラしているようだった。
しかし的確に指導をしている姿に
凄いなぁ……と思った。あの言い負かす言葉と態度。
彼は、義足を隠すどころか堂々としていた。
普通なら、あんなことを言われたら
傷つくだろう。
「おい。青野。さっさと企画書を提出しろ。
ちんたらやってんな!!」
「は、はい。すみません」
いや、傷ついていなさそうだ。
きっと私と違い自分に自信があって
筋金入りの精神力の持ち主なのだろう。
血も涙もなさそうな雰囲気だし……きっと。
私にとって日向課長とは、そんな印象だった。
いいなぁ……悩みとか無さそうで。
そう思いながらパソコンを打っていた。
「へぇ~そんな課長が居るんだ?」
「そうなのよ。酷いと思わない?
ガミガミとうるさいし、怖いしさ」
私は、その夜。
高校時代からの親友・岩田綾音と一緒に
居酒屋で飲んでいた。
リーズナブルで料理もなかなか美味しいため
2人のお気に入りだった。
ビール飲みながらおつまみの枝豆を食べていると
綾音は、のんきにそう言ってきた。
「え~いいじゃない。
楽しそうな職場で羨ましいわ」
はぁっ?楽しい……あれが?
綾音の言葉に私は、唖然とした。これの何処が?