「ま、待って亮平!?私は、あなたに……」

何かを言いかけたとき
課長は、バシッと手を払い除けた。

「触るな!!」

そう言いながら……。
まるで拒絶しているようだった。
か、課長……!?

課長は、女性でも関係なく叱り飛ばすが
あんな風に拒絶したことはない。
だから、私も驚いてしまった。綺麗な女性は、
右手を抑えながら悲しそうな表情をしていた。

「ごめんなさい。そうよね……あなたを酷く
フッてしまった女なんて今でも許さなくて当然よね」

えっ……?この人が課長をフッた?
どういうことなの!?
何だかどうしようもない不安が襲ってきた。
この人と一体何があったのだろうか?

「お前と話すことはない。結衣。行くぞ!」

しかし課長は、そう言うと
ろくに話そうともせずに行こうとした。
か、課長……!?

「私、またこっちで住むことになったの。
だから、あなたとちゃんと話がしたい」

「………。」

綺麗な女性は、そう言うが課長は、
無言のまま何も言わずに歩き出した。
私は、その女性を気にしながらも慌てて
課長を追いかけた。それからマンションに着いて
課長と夕食の準備をするがずっと
考え込んでいて何も話そうとしない。

もしかして……さっきの女性のことを
考えているのだろうか?
綺麗な人だったし、課長のことを下の名前で呼んでいた。
フッたと言っていたし何かありそうな雰囲気だった。

「あの……さっきの女性。
亮平さんの知り合いだったんですか?」