嬉しくて課長にもう一度確かめた。
するとそれが不味かったのか眉をさらに寄せた。
あれ?機嫌悪くなった……。

「本当ですかって……お前は、俺が女だと
見境のないただの軽い男だと思っていたのか?」

「えっ……?」

「好きでもない女を抱いたりしない。
それぐらい分かっているとは思ったが……そうか。
俺は、お前の評価を見余ったのか」

ギロリと思いっきり睨んでくるではないか。
ゲッ!!確認のために言ったのに私にとったら
それは、地雷以外何でもなかった。

楽しいはずの朝食がいつの間にか説教タイムに
なってしまった。酷い……あんまりです。課長。
やっと説教と朝食が終わる頃には、
時間が過ぎていた。

「おっと、そろそろ行かないと遅刻してしまう。
おい、二階堂。ではなかった結衣。
行くから支度しろ」

「は、はい。」

えっ?今……名前を呼んだ?
聞き間違いじゃない。確かに呼んでくれた。
私は、嬉しい気持ちを必死に抑えて返事した。

そして一緒にマンションを出ると駅に向かった。
電車で待っている時にまた課長は、
自分のことを名前で呼ぶようにと言ってきた。
もちろんプライベートの時だけだけど

「なんて呼びましょう?日向さん?」

「いや、下の名前で呼べ。
俺も下の名前で呼ぶから」

すでに名前を呼んでいるが……って言うより
急に下の名前なんて恥ずかしいわ。
そういえば課長の下の名前って何だったかしら?

「課長の下の名前って……何でしたっけ?」