私は、ドキドキする気持ちを抑えながら
課長のところに向かった。
ストレッチをしてから軽くジョギングする。
私は、課長の後ろを走った。
義足をつけていても走るのが速い。
必死について行こうと走っていると途中で
速さを合わせてくれた。
「大丈夫か?無理して
俺に合わせなくてもいいぞ?」
私を気にかけてくれる。優しい……。
あ、今がチャンスだ!
ずっと謝れなかったから今謝ろう。
「あの……会社で失礼なことを言って
すみませんでした」
私は、必死になって課長に謝罪する。
すると課長は、チラッと私を見るがすぐに
前を向いて走り続けた。
「あぁ、そんなことか……別にいい。
嫌われることには慣れている」
嫌われていることになれている!?
見ると背中で顔は、見えなかったけど
何だか切なそうな背中に思えた。
嘘だ……嫌われるのに慣れていても
傷つかない訳がない。
それに私は、課長が嫌いではない。
「ち、違います!!
私は、課長のことが嫌いだなんて
思ったことは、一度もありません」
必死になってそう言った。
誤解どころか嫌われていると思われるのが
堪らなく嫌だった。すると前に走っていた課長が
急に立ち止まってきた。
急に立ち止まったから私は、課長の背中に
勢いよくぶつかってしまう。
そして、そのままドサッと尻餅をついてしまった。
「キャアッ!?
課長……急に止まらないで下さいよ……」
「あ、すまない。驚いて……つい。大丈夫か?」
そう言い手を差し出してくれた。
私は、その差し出された手にドキッとした。