「明後日。夜の19時に居酒屋『千鶴』で
やるのだけど」
明後日ならスポーツクラブも休みだし何とかなるか。
本当なら行く気もないところだけど
これ以上断るのもね……。
「参加だけでいいなら……」
「本当!?良かった~もしかしたら
そこで新しい出会いがあるかもしれないし。
二階堂さんも課長のことは、忘れて
楽しんでくれたらいいから」
いや……参加だけって言っているのだけど
ちゃんと聞いてる?
仕方がなく苦笑いしていると後ろから嫌な気配がした。
「お前らのその熱心さは、仕事に
行かせればいいのだがな」
ビクッ!!
慌てて後ろに振り返るといつの間にか
課長が後ろに立っていた。
ま、まさか今の話、聞いていた!?
「か、課長……今、出掛けたのでは?」
「忘れ物を取りに来たんだ」
紺野さんが恐る恐る尋ねる。
すると課長は、ギロッと睨み付けてきた。
それだけ言うと自分のデスクの方に行ってしまった。
忘れ物ですが……。課長にしては珍しいことだが
私は、ショックと驚きで硬直してしまった。
「何あれ……こわ~い」
「二階堂さん。悪いこと言わないから
課長は、やめた方がいいわよ。違う男にしなって」
紺野さんを含め数人の女性社員に言われる。
だが私は、そんなことよりも
また課長に聞かれて誤解をされたことで
頭がいっぱいだった。
どうしよう。これだと余計に課長と険悪になっちゃう。
何とかして誤解を解きたい。
せめてスポーツクラブで……。