私は、尊敬を込めて聞いていた。
さすが……IQが200もあるだけはあるわ。
凄い。それに何だか発言がカッコいい……。

「ちなみに映画の他に水族館も好きなんです。
見て楽しむことは、出来ないけど魚の種類なら
全種類覚えているし写真も見たことがあるから
どんな魚か記憶してる。ナビみたいなことは、出来ますよ!
良かったら今度行ってみます?」

「はい。」

あまりの凄さと尊敬な目差しで
夏美さんだけではなく私まで返事してしまった。
クスクスと笑う松岡さん。
すると課長が呆れた表情をしながら

「松岡。お前……弱点をカバーするどころか
株上げてんじゃねぇーよ!!」とツッコミを入れていた。

「アハハッ……嫌だなぁ~これも
口説き落とすための手段の1つですよ!」

アハハッと笑いながらも
またもや凄いことをさらりと答える松岡さん。
口説き落とすって……。

「余計にたちが悪いわ」

「まぁまぁ心配いりませんよ。日向さん。
僕は、夏美さん一筋ですから。それに凄く嬉しいです。
僕は、失明をしてから仲がいいと思っていた
友人も数人去りました。
だから久しぶりではしゃいでしまいました」

松岡さんは、切なそうに笑いながらそう言ってきた。
えっ……?その言葉に私は、驚いた。
もちろん夏美さんも驚いて口を開いた。

「友人の方、去られたんですか?」

「えぇ、でも仕方がありませんよ。
誰だって面倒事は、避けたいでしょうし。
僕が居ては、気遣って何処にも行けませんし
何より僕自身も辛い。
普通に見て楽しむことも出来ないから
だから皆さんと一緒に共有出来ることが凄く嬉しくて
今日は、ありがとうございます」

松岡さんは、お礼を言いながら頭を下げてきた。
私も夏美さんもそんな松岡さんを見て
もっと何かをしてあげたいと思った。
失明をしていたって……松岡さんは、松岡さんなのに。
すると課長が呆れたようにため息を吐いた。

「おい、だから夏美ちゃんだけではなく
結衣まで同情を利用して口説き落とすな。
そもそもお前は、そんなこと思っていないだろーが。
もともと一匹オオカミのくせに」

えぇっ!?
一匹オオカミ?松岡さんが?