「亮平さん。もしかして
気づいてないのですか?夏美さんの好きな人」
「お前は、気づいているのか?
基本好きな女以外どうでもいいからな。
さっぱり分からん」
課長は、きっぱりと言い切ってきた。
好きな女以外どうでもいいって……。
つまり私以外の女性は、興味がないってこと?
それは、嬉しいのだが……何だか恥ずかしい。
「結衣?どうして耳まで真っ赤なんだ?ってか
その好きな奴を教えろ」
「もう……亮平さんったら……」
何気にタラシだから困ってしまう。
心臓がもたないわ。
頬どころか身体まで熱くなってきた。
最後に松岡さんは、
「僕は、負ける戦はしない」
さらりと発言したのも驚かされた。
やはり彼は、ペテン師なのかも知れない。
それぞれの想いを胸に秘めながら
パラリンピックに挑むことになろうとしていた。
月日が過ぎて行く中。会社の社員数人が動画や報道で
課長がパラリンピックに出ることを知られてしまった。
そのため噂が広まってしまう。
上層部は、すでに話していたので
課長にもっと全面的に出して
会社の宣伝をしてほしいと説得してきた。
私も、もっと課長の良さや
そしてパラリンピックの良さを伝えるべきだと
課長を説得して会社全体で応援をすることになった。
「えっ?日向課長がパラリンピックの選手に!?」
「義足って走れるもんなの?
課長って、凄い人だったのね!?」
紺野さんも含めて皆、課長に注目していた。
中には、走れることに疑う者も居たが
のちに課長の凄さを分かることに。
会社には、応援のポスターまで出来て何だか有名人っぽい。
私は、嬉しくなる。
これで課長の良さをもっと広まったらいいのに。
素敵な人なんだって……。