アハハッと松岡さんは、明るい口調で笑っていた。
課長が言いたいことが何となく理解した。
またもや、さらりと言ったが……確かに
彼をかなりのやり手だろう。
ニコニコとしながらも
何かを企んでいる雰囲気を出していた。
ずば抜けた頭脳に企みに相手を翻弄する才能。
もし敵に回したら怖いだろうと肌で感じた。
しかし、それよりも篠原さんは、険しい顔をしていた。
「今は、そんな話はどうでもいい。
それよりも夏美に告白をするって君は、本気なのか?
何故、真っ先に告白する前に
父である私に話すんだ?本来なら逆だろう」
確かに……順番が逆だ。
夏美さんに告白して承諾してもらってから
話すことだろう。反対されるかもしれないのに。
「はい。だから父である
篠原さんに話しておきたかったんです。
応援してほしくて。で、もしフラれたら慰めて下さい」
えっ……?
私だけではなく皆も驚いていた。
何を言い出すの?松岡さん……。
「何で告白される側の夏美の父親である私が
応援しないとならないのだ!?
しかもフラれたら慰めるって……」
おいおいと篠原さんは、ツッコんだ。
普通に考えておかしいだろう。
何故、告白される彼女の親に応援や
慰めを頼むのだろうか?
それにフラれはしないだろう。
夏美さんは、松岡さんのことが好きなのだし。
「相手が篠原さんだからですよ。
僕のことをよく知っている篠原さんなら
障害である僕を否定しないって分かっていますから。
それに……大切な娘さんに告白をするんです。
けじめとして、理解して頂けた上で告白をしたい」
「これも……日向さんと二階堂さんの話を聞いて
思ったことです。
目が見えない僕だと彼女に迷惑かけてばかりで
幸せに出来ないと最初から諦めていた。でも
2人の話を聞いて自分にも勇気が湧いてきた。
真剣だからこそ告白をする前に篠原さんに
話しておきたかったんです!!」
松岡さんは、真剣な表情でそう言ってきた。
本気なんだ……夏美さんのこと。
だから自分で打ち明けたんだ……皆に。
「まぁ松岡のことだから上手くいけば
大丈夫だろうけど。
しかし夏美ちゃんは、好きな人が居るって
聞いているがそこは、大丈夫なのか?」
すると課長は、心配そうにボソッと呟いてきた。
えぇっ?課長気づいてないの?
だから、その好きな人が松岡さんなんだってば!!
あんなに分かりやすいのに……。