「結衣。お前……なんかしっかりしてきたな?
最初の頃と比べて随分と変わった」

課長は、そう言って褒めてくれた。私が変わった?
そうかしら?変わったと言われても
自覚がないから自分では、よく分からない。

「そうでしようか……?」

「あぁ、いい目をしている。
前よりも、もっとキラキラして綺麗な目だ」

私の目を見ながら課長は、そう言ってくれた。
課長に言われると何だか余計に照れてしまう。
心臓がドキドキと高鳴ってしまった。

「もう……手当てをするので待ってて下さい」

私は、慌てて逃げるように救急箱を取りに行った。
いくら恋人同士でも課長は、人をドキドキさせるのが
上手くて困っちゃうわ。でも……凄く嬉しかった。
ニヤニヤしちゃって表情を元に戻すのが大変だわ。
熱くなっている頬を必死に落ち着かせた。

そして、きちんと治るまで練習を調整させた。
無理して本番で走れなくなったら困るし。
課長は、渋っていたが仕方がないわよね。

それから1ヵ月が経った頃。
松岡さんのお誘いで、久しぶりに皆で集まることになった。
居酒屋に行くと松岡さん、加藤さん
源さん夫婦と篠原さんの5人がすでに集まっていた。

「よう。久しぶりだな。
元気に練習を励んでるか?」

源さんが私達を見るなりそう言ってきた。
相変わらず明るく、元気だなぁ……。

「久しぶりって……この間も会ったばかりではないですか?
まったく。お酒は、ほどほどにして下さいよ」

「アハハッ……そう言うなって」