次の日、朝一番で営業部に書類を届けにいった。

「おはようございます」
「ああ、もとちゃん、ありがとう」

自然を装って、他の書類の下に頼まれていた資料を重ねて秋山さんに渡す。
資料を確認した秋山さんは、ニッコリと微笑んで、
「お昼どう?」
小さく、そう言った。

おにぎりは持ち帰って夜食べればいい。私はそっと頷いた。
「……はい」

「じゃあ、この前の店で」




ドキドキしながら足早に廊下を歩き、途中、ふと外階段に出る扉を振り返った。

――又吉、秋山さんはいい人だよ?


今日は久しぶりに天気がいい。暖かい陽射しに誘われて、もしかしたら又吉が外階段に来るかもしれない。

でも、残念。
こんな日に限って秋山さんのランチと重なるなんて、ね。

でもね又吉。次に又吉に会うときには、恋人ができたって報告できるかもしれないよ?
なんて、冗談だけどね。
うふふ。

――又吉、早く会いたいね。