「どうしてって……。自分から出会いを作り出すスキルなんて、私にはないし、かといって男性から誘われるほどの容姿も愛嬌も持ち合わせてはいないんだから。しょうがないでしょ」

【そうか? お前は結構かわいいと思うぞ? 編み物も料理も上手いしな】
「ありがと」

相手が猫でも褒めてもらえるのはうれしい。
――でも、人間の男性はそう言ってくれないのよね。悲しいことに。


「そうそう。ねぇ又吉。これ見て。作ったの。白猫なんだよ」
そう言って又吉の鼻先に差し出したのは、羊毛フエルトで作った招き猫が揺れるストラップ。
我ながらよく出来たと思う。

【おもちゃ?】
又吉がひょいひょいと手を伸ばすので、慌てて引っ込めた。

「おもちゃじゃないの。これをね、秋山さんにあげようと思うの。喜んでくれるかなぁ」


問題は渡す機会があるかということだけれど……。