じっと俺を見つめてくるその仕草が、何だか可愛らしい。

「こちらこそよろしく。えっと、じゃあまず今日の予約の確認からなんだけど…。」

俺が予約情報が印刷された紙を春宮さんに見せるようにすると、

「おっ!早速先輩面かよ。つっちーも偉くなったなあ。」

瀬尾さんが背中を軽く叩いてきた。

「瀬尾さん、いきなりからかうの止めてくださいよ?」

ニヤニヤ笑う瀬尾さんに半笑いで返しながらも、俺は緊張が少しほぐれた気がして心の中でお礼を言った。

高校2年生の頃からアルバイトを始め今や3年目に突入しつつも、その間入ってきた新人は大学生ばかり。
仕事としては俺が先輩でありながら、けれど実年齢では年上ばかりだったので、常に敬語であり気を遣っていたつもりだ。
そしてそれは苦とかそういうものではなく、こういうものだと常態化していた。

しかし春宮さんはどうやら俺と同じ歳のようなので、崩した口調であっても問題ない。
問題ないのだが、慣れないせいかどこか緊張している自分がいた。
そんな俺の心を見透かしてか、瀬尾さんはからかってきた。

俺は一呼吸おいてから、パントリーの仕事内容の説明を始めた。