冬がやってきた。
今年も去年同様、寒さが身に染みる。

あれから何度か寝子池神社に足を運んだけれど、あれ以来春宮さんに会うことはできなかった。
大切な何かを失ったかのように、俺の心はポッカリ穴が開いたままだ。
無情にも時は過ぎ、変わりなく日々は過ぎていく。

ただひとつ、心境に変化はあった。
大学で環境学を専攻している俺の目指すべき道がなんとなく見えてきた気がする。
それは、寝子池神社の野良猫たちに出会うたびに感じさせられた、人と自然が共存するために必要なことは何だろうかということだ。
自然環境を守りながら、人と自然がともに生きていく道を探していきたいと、最近では考えるようになった。

それもこれも、春宮さんとの出会いがあったからこそだ。