本殿を後にして踵を返すと、違和感を感じた。
元々静かな神社ではあったけれど、風に揺れる木々の音さえなくなっている。
「えっ…?」
鈴の音がガランガランと鳴り響く。
驚いて振り向くと、そこにはうつむき加減で控えめに微笑む春宮さんの姿があった。
夢か?幻か?
「春宮さん…。」
名前を呼ぶと、
「土橋くん。」
と、返してくれる。
それだけで胸がいっぱいになって、俺は衝動的に彼女を抱きしめた。
「なんで…。」
自分が春宮さんにもう一度会いたいと神様にお願いしておきながら、疑問が口をついて出る。
「土橋くんが私に伝えたいことがあるから会いたいって全財産注ぎ込んでたから、神様がもう一度会ってきなさいって。」
胸の中で肩を揺らしてクスクス笑う気配がする。
「全財産っていうか、その日の全財産ね。」
俺は歯切れの悪い返事をする。
だけど、神様がちゃんと聞いていてくれたんだと思うと、胸が熱くなった。
元々静かな神社ではあったけれど、風に揺れる木々の音さえなくなっている。
「えっ…?」
鈴の音がガランガランと鳴り響く。
驚いて振り向くと、そこにはうつむき加減で控えめに微笑む春宮さんの姿があった。
夢か?幻か?
「春宮さん…。」
名前を呼ぶと、
「土橋くん。」
と、返してくれる。
それだけで胸がいっぱいになって、俺は衝動的に彼女を抱きしめた。
「なんで…。」
自分が春宮さんにもう一度会いたいと神様にお願いしておきながら、疑問が口をついて出る。
「土橋くんが私に伝えたいことがあるから会いたいって全財産注ぎ込んでたから、神様がもう一度会ってきなさいって。」
胸の中で肩を揺らしてクスクス笑う気配がする。
「全財産っていうか、その日の全財産ね。」
俺は歯切れの悪い返事をする。
だけど、神様がちゃんと聞いていてくれたんだと思うと、胸が熱くなった。