「香月さんが怖かったのはそのせいなんですね。」

俺が苦笑いしながら言うと、稲垣さんはとたんに慌てる。

「何か、俺が怒らせちゃったみたいなんだけど、原因がまったくわからないんだよね。つっちー、それとなく聞いてきてよ。」

「ええっ!無茶言わないでくださいよ。」

お手上げだと言う稲垣さんは、薄ら笑いを浮かべながら夕飯を食べ始めた。

女心なんて、俺の方が知りたい。
春宮さんは今どこにいる?
何を考えている?
誰か教えてくれよ。

稲垣さんと二人で、それぞれ頭を抱えながらモソモソと夕飯を食べた。
春宮さんと一緒に食べたことを思い出して、胸がぎゅっとなった。