何回「猫」と言ったかわからないけど、とにかく春宮さんは「猫」らしい。

……。

いやいやいや、だとしても、はいそうですかと納得できるものではないだろう。
だって、目の前にいる春宮さんは猫ではなく人間なのだから。

何のドッキリ?
まさか試されてる?

いろいろな感情が湧いては消える。

「びっくりしちゃうよね。だって今、土橋くんの前にいる私は、人間の姿なんだから。」

至極当然なことを言う。

困惑と疑いの表情が出ている俺に、春宮さんは一度目を伏せ、悲しそうに微笑んだ。

「信じてくれなくてもいいから、話だけ聞いてください。」

顔を上げた春宮さんに、俺は躊躇いながらも頷いた。