さて、これからどうしようか。
このまま「じゃあ」と別れるのも何か変だし、一緒に学祭を見て回るのもぎこちない気がするし。

告白のタイミング間違ったな、俺。
心の中で一人反省会を開いていると、それまで黙っていた春宮さんが静かに口を開いた。

「私も土橋くんが好きだよ」

それはとても小さくて、集中していないと聞き逃してしまいそうなほどか細かった。

「えっ、それは…」

どういうことだろうか?
ただの慰めで言ってくれたなら、ちょっと傷つくんだけど。

彼女は俯いていた顔を少し上げて俺を見据えた。
その瞳はゆらゆら揺れていて、今にも泣き出してしまいそうな気がして、ひどく動揺してしまう。

「ずっとずっと土橋くんが好きだった。だから、好きって言ってもらえてとても嬉しい。だけど、私たちは、付き合うことはできないんだよ。」

春宮さんは一気にそう言うと、ついに瞳から一筋雫がこぼれた。

俺は訳がわからなくて、ただただ春宮さんを見つめているだけだ。