4月は結局新人バイトは入ってこず、いつも通りの時間が流れた。
大学や高校に通いだしてすぐは、まだ生活に馴染むのに苦労しているのかもしれない。
それとも、人が足りていて求人を出していない可能性もある。

先輩になるという淡い期待を見事に打ち砕かれた気がして、俺はいつもと変わらない業務にため息をついた。

別にどうしても先輩になりたいというわけではない。
ただ何となく、4月という新しい年度を迎えるにあたってのドキドキ感やわくわく感を期待せずにはいられない何かがあっただけだ。

もちろん、大学へ通うという新しい出来事があり、大学生活は初体験の連続だ。
それなりに友達もできたし、授業の形式にも慣れてきた。

だがしかし。

それはそれ、これはこれってやつだ。 
バイト先にも刺激が欲しい。

そんな俺の心を見透かしてか、バイト先の先輩である瀬尾さんに「落ち着いて仕事しろ」と叱られた。