俺のバイト先は、市内から少し北に行ったところの観光ホテル『クラシック古都』だ。
市街地から外れるため、ビジネスマンよりも観光客、修学旅行生の利用が多い。

昼食夕食時の宴会のセッティングや配膳をするのが、俺たちバイトの仕事だった。

この3月でバイトが数人辞める。
バイトの主なる層は学生だ。
この辺りに大学が多いので学生の街とも称され、毎年多くの学生が入れ替わっている。
そして4月からまた新しいバイトが入ってくるのだろう。

「ついに俺、先輩かな?」

近くに大学があるが故、大学生のバイトが多い。
そのため、高校生でのバイトは俺だけだった。

だからといって別にペコペコしていたわけではないが、一応年下ということで気を遣っていたことは否めない。
4月からは俺も大学生だ。
同じ大学1年生が入ってきても、バイト仲間としては俺が先輩になる。

少しだけ胸が心躍るようなちょっとした期待を含みながら、俺は今日も仕事をこなすのだった。