バイト上がりの俺たちは小腹がすいていたので、たこ焼きを1舟買って半分こすることにした。
完全に売れ残りだったので、全然温かくはない。

裏山のふもとに寝子池神社があって、祭りの提灯がたくさん飾り付けられている。
祭りは終わっているけど今日はこのままで、きっと明日、町内会の人たちが片付けるのだろう。

寝子池神社の手水舎は地面より一段高いところにあり、俺たちはふちっこのコンクリートの部分に並んで座った。

「たこ焼き、冷めちゃってるけど食べようか。」

「わぁ、嬉しい!お祭りに来たみたい!」

お祭りは終わっているしたこ焼きも冷えているけど、春宮さんはとても喜んでくれた。
ニコニコしながらたこ焼きを頬張っている。
たこ焼きを一口で食べると口の中がいっぱいになるらしく、ほっぺたを膨らませてモグモグ食べる仕草が見ていて飽きない。
何かこういうのいいなぁと、無意識に春宮さんを見つめてしまう。
春宮さんは俺を見て、「ふひはひふんほはへへ」とジェスチャー付きで呪文のようなことを呟いた。
たぶん、「土橋くんも食べて」と言ったと推測されるんだけど、あまりの面白さと可愛さに、俺は笑い転げてしまった。