「…なんか、思わず熱くなってしまいました。」

恥ずかしい、と少し赤くなった頬を春宮さんは両手で覆った。

「いや、何か立派だなって思った。」

率直な感想だ。

明確な目標を持った春宮さんと、はたまた何となく大学へ進学した俺。
将来性という面で、俺は妙な敗北感に襲われた気がした。
なりたいもの、やりたいことが明確に決まっておらず、ただなんとなく好きなことができそうな学部を選び、大学4年間で将来の夢を見つけたらいいなんてぼんやり考えていただけ。
かたや春宮さんは、目標を持って専門学校に進んでいた。
フラフラしている自分とは大違いで、同時に自分の不甲斐なさにがっかりした。

そうなんだ、考えてみれば4年なんてあっという間。
ぼやぼやしているとすぐに卒業してしまう。
現にもう大学生活が始まって1ヶ月が過ぎている。
この1ヶ月、自分は何をしていただろうか。
胸を張って、有意義に過ごしましたと言えるだろうか。

妙な焦りを覚えた。

と同時に、春宮さんの熱く秘めたる想いを垣間見た気がして、それはそれで尊敬の念を抱いた。