「……お前ら、あの商店街の中にある月白神社って知ってるか?」

「ああ、あの縁結びとか、縁を切るので有名な。小さな神社だけど女子たちの中では定番らしいな」

 かなり迷ってから話題にしたのに、間髪をいれずに田島から返答があった。それに森野が乗っかる。

「なんかここ一年くらいだよな、すごいご利益だって話題になったの。どこがブームの火付け役なんだ? 神社関係者の陰謀なのか?」

「その関係者っつーか、あの神社のことが知りたいんだ!」

 思い切って悩んでいる内容を口にする。ユイは何者なのか。あの神社とまったくの無関係ではないはずだ。

 神様ならそれはそれでいい。でもユイがどうしてあそこにいるのか、そしてユイの縁がなんなのか。もし本人が無意識のうちにでも、望んでいるものがあるのならそれを叶えたい。

 余計なお世話かもしれない。けれど今、縁が見えているのは俺だからこそユイのためにできることがあるなら、力になりたい。

 田島と森野は奇妙なものを見る目でこちらを見ていた。当たり前だ、いきなりこんな話をされても困るだけだろう。俺はどうにか取り繕うと考えた。

 しかし、俺よりも先に田島と森野の順で、ふたりが言葉を発する。

「俺のばあちゃん、あそこの商店街の服屋にしょっちゅう買い物に行くんだ。お店してんのも、かなりの年寄りみたいだから、ちょっと聞いてみるわ」

「俺は妹にでもあの神社について聞いてみるか。たいしたことは、分かんねぇだろうけど」