「今日は、単に予約時間より早く来ちゃってさ。ぶらぶらしてたら、ここを見つけたんだ。で、せっかくだから『早く怪我が治りますように』って祈っといた」
なるほど。俺が初めてこの神社を訪れたときと同じ流れか。憲明の足に縁が結ばれているのも納得できた。しかしそうなると、この縁の先はどうなっているんだ?
そのとき憲明のものであろう携帯が音を立てた。どうやら母親が病院のところまで迎えに来たらしい。『また教室に顔を出すから』と伝えると憲明は笑顔で神社をあとにした。
再び神社は俺とユイだけになった。生ぬるい風が頬を掠める。じめっとした空気はやはり好きになれない。
「さっきの男の子、シュウくんのバレエ仲間なんだ。足の怪我、早く治るといいね」
隣にやってきたユイが微笑み、たしかめるように聞いてきた。
「ああ、あいつに縁が結ばれてあった」
「そうなると、最初に来た男の子は、なにもお願いしなかったのかな?」
「それについては、なんとも言えないけど……青色の縁ってどんな意味があるんだ?」
いきなり質問した俺にユイは斜め上に視線を向ける。
「青かぁ。青は意味も広いから、これって断言するのは難しいんだよね」
「ま、色だけで縁の内容がわかるなら、俺はここに必要ないだろうしな。ただ、なんとなく青ってマイナスのイメージなのは俺だけか?」
するとユイは困った笑みを浮かべる。
「たしかに冷たい印象のある色だけれど知的で冷静。誠実さや信頼とかいい縁の場合もいっぱいあるよ。あとは……相手に気を使う、とかね」
なんとなく最後の言葉が引っかかった。俺は考えを巡らせる。
「……確かめたいことがあるんだ」
複雑な表情を浮かべ、力強い口調で言った。どういう事情なのかは分からない。けれど、もうひとりの参拝者について俺はどこかで確信があった。
ユイの言った泣きぼくろ、たった今話題になっていた鹿山章吾にも右目下に泣きぼくろがある。
なるほど。俺が初めてこの神社を訪れたときと同じ流れか。憲明の足に縁が結ばれているのも納得できた。しかしそうなると、この縁の先はどうなっているんだ?
そのとき憲明のものであろう携帯が音を立てた。どうやら母親が病院のところまで迎えに来たらしい。『また教室に顔を出すから』と伝えると憲明は笑顔で神社をあとにした。
再び神社は俺とユイだけになった。生ぬるい風が頬を掠める。じめっとした空気はやはり好きになれない。
「さっきの男の子、シュウくんのバレエ仲間なんだ。足の怪我、早く治るといいね」
隣にやってきたユイが微笑み、たしかめるように聞いてきた。
「ああ、あいつに縁が結ばれてあった」
「そうなると、最初に来た男の子は、なにもお願いしなかったのかな?」
「それについては、なんとも言えないけど……青色の縁ってどんな意味があるんだ?」
いきなり質問した俺にユイは斜め上に視線を向ける。
「青かぁ。青は意味も広いから、これって断言するのは難しいんだよね」
「ま、色だけで縁の内容がわかるなら、俺はここに必要ないだろうしな。ただ、なんとなく青ってマイナスのイメージなのは俺だけか?」
するとユイは困った笑みを浮かべる。
「たしかに冷たい印象のある色だけれど知的で冷静。誠実さや信頼とかいい縁の場合もいっぱいあるよ。あとは……相手に気を使う、とかね」
なんとなく最後の言葉が引っかかった。俺は考えを巡らせる。
「……確かめたいことがあるんだ」
複雑な表情を浮かべ、力強い口調で言った。どういう事情なのかは分からない。けれど、もうひとりの参拝者について俺はどこかで確信があった。
ユイの言った泣きぼくろ、たった今話題になっていた鹿山章吾にも右目下に泣きぼくろがある。