俺たちは神社にある古びた青色のベンチに腰かけた。病院の先生から俺が神社によく出入りしているのを聞いて、ここに来たらしい。
先生にしても憲明にしても神社でなにをしているんだ、という感じだろうがそこは聞かれなかった。俺は憲明の足に視線を向けて尋ねた。
「足、大丈夫なのか?」
「うん。これバレエじゃなくて今日、体育の時間にバスケしててやっちゃったんだ。病院で温熱療法してもらったよ」
左足をかばって引きずっているのを聞くと、憲明はあっけらかんと返してきた。
「シュウくんこそ、足はもういいの?」
「……ああ」
そのまま同じ調子で尋ねられた質問に勝手に気まずくなって言いよどむ。まずは連絡しなかったのを謝ろうとしたところで、憲明が先に続ける。
「シュウくんさ、また教室に顔出してよ。菜穂子先生も心配してたし、章吾も会いたがってたよ」
「章吾は元気なのか?」
「元気だよ。発表会も近いし、練習頑張ってるよ」
そうか、と頷きそうになって違うことが気になる。
「って発表会近いのに、その足は大丈夫なのか?」
慌てた様子の俺に対し、憲明は軽く肩をすくめた。
「どうなんだろ。日常生活はそうでもないけれど、バレエとなるとね。思ったより腫れもひどいから、もし俺が出られなかったらその分、章吾に頑張ってもらうしかないかも」
あまり悲壮感は帯びていない口調だ。話題に出た鹿山章吾は同じボーイズのメンバーで憲明と同い年だ。
章吾は小学三年生のときにバレエを習いはじめ、俺とはそれからの付き合いになる。一見、無愛想な感じだが、章吾は誰よりも俺を慕ってくれていた。
憲明とは対照的に背が高く、それでいて繊細な動きやステップが得意なので、どちらかと言えば俺の踊りのタイプと似ていた。
先生にしても憲明にしても神社でなにをしているんだ、という感じだろうがそこは聞かれなかった。俺は憲明の足に視線を向けて尋ねた。
「足、大丈夫なのか?」
「うん。これバレエじゃなくて今日、体育の時間にバスケしててやっちゃったんだ。病院で温熱療法してもらったよ」
左足をかばって引きずっているのを聞くと、憲明はあっけらかんと返してきた。
「シュウくんこそ、足はもういいの?」
「……ああ」
そのまま同じ調子で尋ねられた質問に勝手に気まずくなって言いよどむ。まずは連絡しなかったのを謝ろうとしたところで、憲明が先に続ける。
「シュウくんさ、また教室に顔出してよ。菜穂子先生も心配してたし、章吾も会いたがってたよ」
「章吾は元気なのか?」
「元気だよ。発表会も近いし、練習頑張ってるよ」
そうか、と頷きそうになって違うことが気になる。
「って発表会近いのに、その足は大丈夫なのか?」
慌てた様子の俺に対し、憲明は軽く肩をすくめた。
「どうなんだろ。日常生活はそうでもないけれど、バレエとなるとね。思ったより腫れもひどいから、もし俺が出られなかったらその分、章吾に頑張ってもらうしかないかも」
あまり悲壮感は帯びていない口調だ。話題に出た鹿山章吾は同じボーイズのメンバーで憲明と同い年だ。
章吾は小学三年生のときにバレエを習いはじめ、俺とはそれからの付き合いになる。一見、無愛想な感じだが、章吾は誰よりも俺を慕ってくれていた。
憲明とは対照的に背が高く、それでいて繊細な動きやステップが得意なので、どちらかと言えば俺の踊りのタイプと似ていた。