ん?
なにかが目の前を通ったのか、なんだか視界がおかしい。一度目を瞑って再び確認するが、やはり視界にはうっすらと糸のようなものが、二本浮いて見える。
灰色の鉛筆で書かれているみたいで、糸というより線だ。こんな長いものを今までどうして気づかなかったのか。
どこに結ばれているのか気になってその先を追いかけてみると、先程鳴らした鈴のところで、折り返している。
自然と賽銭箱の向こうで佇んでいる彼女の方へ目を向けることになった。
「なんだこれ」
「なにが見えるの?」
おかしなことを言う。自分のことは見えるのか?なんて聞いておいて。
「からかうのもいい加減にしてくれ。この糸みたいなやつだよ」
「やっぱりー!?」
不躾にこちらを思いっきり指差しながら彼女は叫ぶ。さっきから妙に会話が噛み合っていない気がするのだが、今重要なのはそこではない。
「つーか、どこまで伸びてんだよ、これ」
大股で近づき嫌でも目に入る糸に触れようとした。……が、
「触れない」
指を伸ばしても糸はすり抜けて掴むめない。何度も試してみるが結果は同じだ。これらの事実から導かれる結果は……。
「俺の目がおかしくなったのか?」
愕然としていると、一際、明るい声が耳に届く。
「それはね、縁だよ」
「エン?」
彼女は大きく頷くと、こちらを差していた人差し指を自分の顔の横で立てた。
なにかが目の前を通ったのか、なんだか視界がおかしい。一度目を瞑って再び確認するが、やはり視界にはうっすらと糸のようなものが、二本浮いて見える。
灰色の鉛筆で書かれているみたいで、糸というより線だ。こんな長いものを今までどうして気づかなかったのか。
どこに結ばれているのか気になってその先を追いかけてみると、先程鳴らした鈴のところで、折り返している。
自然と賽銭箱の向こうで佇んでいる彼女の方へ目を向けることになった。
「なんだこれ」
「なにが見えるの?」
おかしなことを言う。自分のことは見えるのか?なんて聞いておいて。
「からかうのもいい加減にしてくれ。この糸みたいなやつだよ」
「やっぱりー!?」
不躾にこちらを思いっきり指差しながら彼女は叫ぶ。さっきから妙に会話が噛み合っていない気がするのだが、今重要なのはそこではない。
「つーか、どこまで伸びてんだよ、これ」
大股で近づき嫌でも目に入る糸に触れようとした。……が、
「触れない」
指を伸ばしても糸はすり抜けて掴むめない。何度も試してみるが結果は同じだ。これらの事実から導かれる結果は……。
「俺の目がおかしくなったのか?」
愕然としていると、一際、明るい声が耳に届く。
「それはね、縁だよ」
「エン?」
彼女は大きく頷くと、こちらを差していた人差し指を自分の顔の横で立てた。