「だから、家に帰ってから話す」
それを聞いたユイは、途端にぱっと顔を綻ばせた。そして前は遠慮していたくせに今は傘に入ろうと俺の横に堂々とやってくる。俺はゆっくりと歩きだした。
ユイはセーラー服を着ているから端から見たら俺たちはカップルに見えるのかもしれない。いや、兄妹か? 俺は末っ子なのでそこらへんの感覚はよく分からない。
さすがに独り言を連発して歩くのもなんなので、家に向かいつつも俺たちの間に会話らしい会話はなかった。
ふと商店街に店をかまえている理容室のガラス扉に視線がいった。そこには傘を持ちながら右半分に妙なスペースを空けている俺がひとり映っている。
当たり前だがそこにユイの姿はない。辺りが白んで視界は不透明。だからなにが嘘で、なにが本当なのかなんてきっと誰にも判別できない。
結局のところ、誰しも自分で見たことしか信じられないんだ。現実なのか、俺が作り出した幻なのか、それでも隣に視線を移すと、ユイは嬉しそうに笑っていた。
家に着く頃には雨はほぼ上がっていた。元々降っている、というほどでもなかったので家の門をくぐる前に傘を閉じる。
そのとき外に置いてある傘立てに青と白のストライプ柄の見慣れない傘が混じっていた。そして不意に玄関のドアが開く。
「じゃぁ、また……っシュウくん!?」
本当に相手が驚いたのが伝わってきた。それは俺もだ。まさかこんなところで会うとは誰が予想していたんだよ。
それを聞いたユイは、途端にぱっと顔を綻ばせた。そして前は遠慮していたくせに今は傘に入ろうと俺の横に堂々とやってくる。俺はゆっくりと歩きだした。
ユイはセーラー服を着ているから端から見たら俺たちはカップルに見えるのかもしれない。いや、兄妹か? 俺は末っ子なのでそこらへんの感覚はよく分からない。
さすがに独り言を連発して歩くのもなんなので、家に向かいつつも俺たちの間に会話らしい会話はなかった。
ふと商店街に店をかまえている理容室のガラス扉に視線がいった。そこには傘を持ちながら右半分に妙なスペースを空けている俺がひとり映っている。
当たり前だがそこにユイの姿はない。辺りが白んで視界は不透明。だからなにが嘘で、なにが本当なのかなんてきっと誰にも判別できない。
結局のところ、誰しも自分で見たことしか信じられないんだ。現実なのか、俺が作り出した幻なのか、それでも隣に視線を移すと、ユイは嬉しそうに笑っていた。
家に着く頃には雨はほぼ上がっていた。元々降っている、というほどでもなかったので家の門をくぐる前に傘を閉じる。
そのとき外に置いてある傘立てに青と白のストライプ柄の見慣れない傘が混じっていた。そして不意に玄関のドアが開く。
「じゃぁ、また……っシュウくん!?」
本当に相手が驚いたのが伝わってきた。それは俺もだ。まさかこんなところで会うとは誰が予想していたんだよ。