「もうっ! シュウくんってば、なんであそこで声をあげちゃうの!?」

 我が物顔でベッドに腰かけているユイが批難の声をあげる。勉強机向かうと、ベッドには背を向ける形になるのだが、課題をこなそうとしていた俺にとっては、見えないとはいえ、気が散ることこのうえない。シャーペンの芯が折れて替え芯を探しながら答えた。

「悪かったって。でもあれがツッコまずにいられるか?」

「なに言ってんの! 元々縁結びの神社なんだから良縁祈願の人は多いんだよ」

「だからって俺にどうしろと」

 まさか彼女に彼氏ができるように協力しろと言うのか。それなら俺よりも女友達に言った方がよっぽどなんとかなりそうだ。ベッドの方に顔を向けるとユイは腕組みをしてなにかを考えていた。

「でも変だなー。良縁を願うなら、縁はピンクとか赤とかそういう色が多いのに」

「紫と緑ってどういう意味なんだよ?」

 思わず尋ねる。翔人のときもそうだが、縁の色にも多少の意味はあるらしい。

「うーん。一概には言えないけど……紫は寂しさ、不安定なのを表したり」

 俺はふっと笑った。納得半分、呆れ半分といった感じで。

「そりゃ、彼氏が欲しい人間ってそんなもんじゃねぇの?」

「でも緑との組み合わせなんだよねー」

 さらに難しい表情をしているユイに俺は笑みを収めた。

「なんだよ。なんか問題でもあるのか?」

 ユイは眉をへの字にして歯切れ悪そうに続ける。

「緑はいい意味もたくさんあるんだけど、嫉妬の感情のときに見えたりするから」

 嫉妬?

 緑が嫉妬を表すのも意外だが、彼氏が欲しい彼女は誰に嫉妬しているのか。

 女友達に対してか? 女子ってそういうの激しそうだし。